2025.05.17

人気の「かるかん」をはじめ、
素材を活かした上品な味わいで
お土産・ギフトにもおすすめ!
鹿児島銘菓

みなさんは「かるかん」というお菓子を知っていますか?かるかんは鹿児島県の伝統的な和菓子のひとつ。江戸時代から地元の人々に愛され続けているソウルフードです。実は鹿児島には、かるかんを筆頭に独自の進化を遂げた和菓子がたくさんあるんです。今回は、素朴で懐かしい「鹿児島銘菓」の世界をご紹介します!

鹿児島銘菓 イメージ画像

1.かるかんとは、どんなお菓子?歴史や由来もご紹介

かるかんとは、すりおろしたヤマイモに「かるかん粉(うるち米を粗挽きにした粉)」と砂糖を練り合わせて蒸した和菓子のこと。ふんわりもっちりとした食感とほんのり自然な甘みは、ホッと心なごむ味わいで郷愁を誘います。
一説によると、生地を蒸し上げることで空気がたっぷりと含まれ、蒸す前よりも軽くなるため、また四角く切り分けた形が羊羹(ようかん)に似ているため、「軽い羊羹=軽羹(かるかん)」と呼ばれるようになったのだとか。
かるかんに関する最古の記録は、江戸時代中期までさかのぼります。1699年(元禄12年)、薩摩藩主・島津綱貴の誕生祝いにかるかんが献上されたという献立が残っているそうです。別の説によれば、幕末の名君・島津斉彬が保存食を研究するために呼び寄せた菓子職人・八島六兵衛が考案したとも伝えられています。

温暖な気候で、水はけの良いシラス台地が広がる鹿児島は、かるかんの原料となるヤマイモの栽培に適していました。さらに周辺の奄美・琉球地域から砂糖を入手しやすかったことも相まって、このように独特の郷土菓子が生まれたのでしょう。
江戸の昔、砂糖は大変希少だったため、かるかんは庶民の間には普及せず、主に大名が冠婚葬祭に食べる高級菓子だったようです。その味が一般に広まったのは、明治時代になってから。現在のかるかんは、鹿児島の観光土産や贈答菓子の代表格として全国の人たちに親しまれています。

鹿児島銘菓 かるかん

2.「かるかん」と「かるかん饅頭」の違い

鹿児島県内の和菓子屋はもちろん、家庭でも手作りされている「かるかん」。最近では、かるかんの生地であんこを包んだ「かるかん饅頭」も人気です。「かるかん」と「かるかん饅頭」の大きな違いは、あんこの有無。本来のかるかんは真っ白な生地のみで作られた四角形のシンプルな和菓子を指しますが、あんこが入ったかるかん饅頭は丸いドーム型をしているのが特徴です。かるかん饅頭もプレーンなかるかんと同じく、雪のような純白が基本ですが、桜や抹茶など季節の食材を使用した色つきのものも販売されています。

鹿児島銘菓 かるかん団子とかるかん

3.栄養豊富で美味しいかるかん

クセのない上品な甘みと香り、ふんわり柔らかな歯ざわりがクセになるかるかん。もちもちとした粘り気のある独特の食感は、原材料にヤマイモをたっぷり使用することによって生まれます。
古くからヤマイモは、滋養強壮や疲労回復、免疫力アップに効果的な野菜とされてきました。また、消化・吸収をサポートするデンプン分解酵素のアミラーゼやジアスターゼ、食物繊維などの栄養素も豊富に含んでいます。
体にうれしい成分とナチュラルな美味しさをバランスよく兼ね備えたかるかんは、現代人にとって一石二鳥なおやつと言えるかもしれません。

4.まだまだたくさん!個性が光る鹿児島銘菓

鹿児島にはかるかんのほかにも、郷土色豊かな和菓子がたくさんあります。四季折々の食材を取り入れ、年間行事や冠婚葬祭などにも用いられてきた伝統の味は、鹿児島の食文化にとって欠かせないもの。昔ながらのほっこり優しい美味しさは、現在も地元の人々に愛され続けています。

鹿児島銘菓 小豆羹(あずきかん)

【小豆羹(あずきかん)】

小豆と小麦粉、葛、砂糖を使い、せいろで蒸し上げた羊羹。桃の節句(ひなまつり)などの祝いに作られる薩摩の節句菓子です。寒天で固める「練り羊羹」とは食感が異なり、つるんとなめらかな口あたりがポイント。小麦粉が多いともっちり食感に、葛が多いと歯切れの良い食感に仕上がります。

木目羹(きもくかん)

【木目羹(きもくかん)】

室町時代から続くと言われる和菓子で、小豆羹のアレンジバージョンとも呼べる存在。小豆あんと白あんの生地を重ねて蒸し上げた、木目のような美しい模様が特徴的です。この木目模様が樹木の年輪に似ていることから、子供の健やかな成長を願って節句などの祝いに食べられています。クセのないあっさりとした味わいとふんわり軽い食感も魅力です。

いこ餅

【いこ餅】

しっかり煎った米粉を砂糖湯でこねて作った香ばしい餅菓子。米粉を浅煎りしたものは白く、深煎りしたものは黒っぽい色をしています。江戸時代の初めごろから親しまれてきた郷土の味で、「煎った米の餅」が変化して「いこ餅」と呼ばれるようになったそうです。鹿児島では冠婚葬祭だけでなく、家庭のおやつにも用いられてきました。

【高麗餅(これもち)】

小豆あんと餅米を練って蒸し上げた餅菓子。豊臣秀吉が朝鮮に出兵した際、高麗(こうらい)から薩摩に連れてこられた陶工たちが、ふるさとをしのんで建てた神社に供えたとされています。独特の粘りとむっちりとした弾力はクセになる美味しさで、庶民の間にも広まりました。

鹿児島銘菓 あくまき

【あくまき】

一晩かけて灰汁(あく)に漬けた餅米を孟宗竹の皮で包み、さらにたっぷりの灰汁でじっくり煮込んだ餅菓子。灰汁には殺菌作用があり、日持ちが良いことから、薩摩では長らく兵糧として活用されてきました。島津義弘が関ヶ原の戦いに持参したとも、西郷隆盛が西南戦争で食べたとも伝えられています。鹿児島では端午の節句(子供の日)に欠かせない一品で、「ちまき」と呼ばれることも。お好みで砂糖やきなこ、黒みつなどをかけて食べると、よりいっそう香ばしい旨みが際立ちます。

鹿児島銘菓 ふくれ菓子

【ふくれ菓子】

小麦粉、重曹、黒糖などを混ぜ合わせて蒸した郷土菓子。重曹を使ってふっくらと仕上げるため、「ソーダ菓子」「ふくらかん」「ふくれかん」などとも呼ばれています。昔は豊作を祈る祭りや農作業のお茶請けに使われていましたが、現在は季節を問わず日常のおやつとして親しまれています。

鹿児島銘菓 げだんは

【げだんは】

小麦粉と卵、黒糖で作った生地を黒みつの中に漬け込んだ郷土菓子。その昔、米の集荷地に集まる人をもてなすため、お茶請けとして作られたと言われています。一説によると、見た目が「下駄の歯」に似ていたことから、「げたんは」と呼ばれるようになったとか。特徴的な三角形のフォルムから、別名「三角菓子」とも呼ばれていたそうです。黒糖の濃厚な風味としっとりとした口あたりが贅沢な一品です。

鹿児島銘菓 からいもねったぼ

【からいもねったぼ】

つきたての餅に、蒸した「からいも(サツマイモ)」を加えて混ぜ合わせた伝統料理。「ねったぼ」の語源には諸説あり、「練ったぼたもち」が変化したとも、餅を「ぼったぼった」と練ってつくことに由来するとも言われています。鹿児島では年末年始の餅つきをはじめ、学校給食や普段のおやつにも食べられています。

※出典:農林水産省ウェブサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/karaimonettabo_kagoshima.html)

鹿児島銘菓 両棒餅(じゃんぼもち)

【両棒餅(じゃんぼもち)】

つきたての餅に2本の竹串を刺して焼き、とろりと甘いタレをかけた郷土菓子。昔の上級武士が腰に刀を2本差した姿になぞらえて、この名前がついたとも言われています。「両棒」を「じゃんぼ」と読むのは、中国語の「リャンボウ」が訛ったからとも伝えられています。

出典:農林水産省ウェブサイト
(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/jambomochi_kagoshima.html)

鹿児島銘菓 加治木まんじゅう

【加治木まんじゅう】

姶良市(あいらし)に江戸時代初期から伝わる名物で、餅米と麹、酒粕で作った生地に小豆あんを合わせた酒蒸し饅頭。ほのかな甘酒の香りとふわふわの生地は、長年に渡り地元の人々に愛されてきました。

写真協力:
公益社団法人 鹿児島県観光連盟

【伊集院まんじゅう】

日置市で100年以上前に誕生したとされる饅頭。煎った餅米と糖蜜を合わせた柔らかい皮で白あんを包み、まろやかで優しい口あたりに仕上げました。表面には、島津氏の家紋「丸に十字」が刻まれています。

鹿児島銘菓 しんこ団子

【しんこ団子】

もちもちの食感と香ばしい味わいが懐かしい串団子。日置市にある禅寺「深固院(しんこいん)」の僧侶が飢饉に苦しむ人々を救うため、籾(もみ)を粉にして餅をつき、醤油をかけて食べさせたのが始まりとされています。現在は薩摩川内市のソウルフードとしても知られています。

鹿児島銘菓 かからん団子

【かからん団子】

小豆団子やよもぎ団子をサルトリイバラの葉で包んで蒸したもの。サルトリイバラは茎にトゲがあるため、「かからん(「さわるな」の方言)」と注意を促したことから、この名がついたそうです。サルトリイバラの葉には殺菌作用があるので、団子も傷みにくいのだとか。「病気にかからん」という言葉にかけて、端午の節句の縁起物にも用いられてきました。

鹿児島銘菓 はったい菓子

【はったい菓子】

乾煎りした大麦の粉を「はったい粉」と言います。このはったい粉を砂糖や湯などで練り合わせ、型などに入れたものが「はったい菓子」です。落雁(らくがん)によく似た見た目で、ほのかな甘みと香ばしい味わいが懐かしい郷土菓子です。

鹿児島銘菓 白熊

【白熊】

かき氷に練乳をかけ、サクランボ、みかん、パイン、レーズン、小豆、寒天などを彩り豊かにトッピングした郷土菓子。昭和20年代創業の老舗飲食店が発祥とされ、全国的にも有名なスイーツです。発売当初は白みつと赤みつをかけたシンプルなかき氷でしたが、改良を重ねて練乳ミルク風味のシロップになったそうです。彩りを添えるためにトッピングした具材が、上から見た時に白熊に似ていたため、「白熊」と呼ばれるようになったとか。鹿児島の夏の風物詩として、幅広い世代に愛されています。

出典:農林水産省ウェブサイト
(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shirokuma_kagoshima.html)

《出典元・参考文献》

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