2022.08.20

ゆばの歴史・レシピ

1・湯葉(ゆば)の歴史

豆乳から作られる「ゆば」の歴史は古く、二千年前の中国から禅僧の手によって伝えられたと言われています。湯葉は大豆食品なので、禅宗のお寺で精進料理の材料として使われ、「山の坊さん何食うて暮らす、ゆばの付け焼き(ゆばの蒲焼)、定心坊(お漬物)」という童歌ができるほど、お坊さんに愛され重宝されました。
現代の料理本の先駆けとも言われる江戸時代の料理本「豆腐百珍」には湯葉料理が5品紹介されており、精進料理だけでなく一般的な食材としても広く市民に親しまれていたことが伺えます。

その後、湯葉は精進料理・懐石料理として発展しながら食文化を支え、現在では栄養価の高い食品として、和食だけでなく洋食やスイーツ、赤ちゃんの離乳食などとして幅広く利用されています。

2.湯葉という名前の由来

湯葉(ゆば)の名前の由来には、おもしろい仮説がふたつあります。
1.湯葉の表面のシワが肌のシワに見えることから、老婆のシワに例えられ「姥(うば)」と呼んでいたものが「ゆば」に変化した(俗説)
2.豆乳の膜(上面)を汲み上げることから「上(うは)」と呼ばれ、「上(うは)」が変化して「うば」となり「ゆば」になった

ゆばのつみあげ

3.湯葉の栄養価について

湯葉の原料である大豆は、畑のお肉と呼ばれるぐらい良質のタンパク質が多く含まれています。だからこそ、殺生が御法度の精進料理では、肉や魚に代わる貴重なタンパク源として重宝されたのです。
また、体の中で作られないため、食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」という成分も、湯葉はチロシン、トリプトファンなどを豊富に含んでいます。
他にも、大豆特有の成分である大豆レシチン・大豆サポニン・イソフラボンなども多く含まれており、美容・健康の面からも注目されています。

大豆
大豆の主な栄養素・成分

4.湯葉の作り方

湯葉の製造工程は、基本的には豆乳を煮るところまでは豆腐と同じです。豆腐はにがりや凝固剤を入れて固めますが、湯葉は何も加えずにタンパク質が熱の力によって固まる作用(=熱凝固)を利用して作られます。凝固剤を使用しないため、大豆から製造できる量は豆腐の約10分の1程度と非常に少ないのです。

5.アレンジレシピ

ちらし寿司

ゆばのちらし寿司

<材料>1人前
・湯葉(さくら風味) 20g
・ご飯 1合
・卵 1個
・カニカマ 2本
・さやまめ 2個
・紫蘇の葉 2枚
・のり 適量
・酢 大さじ2

<作り方>
1.【下準備】ご飯を炊き、酢を混ぜて酢飯を作っておく。さやまめはお湯で塩ゆでする。
2.【錦糸卵を作る】フライパンに卵液を流し込んで薄く広げて弱火で焼く。
3.【食材を切る】1のさやまめ、紫蘇の葉、カニカマ、湯葉(さくら風味)をそれぞれ食べやすい大きさに切る。2の卵とのりを細く切る。
4.器にご飯、3の食材を盛りつけたら完成

マグロの湯葉包み揚げ

まぐろの湯葉包み揚げ

<材料>2人前
・湯葉 1枚(約50g)
・鮪 100g
・醤油 大さじ2
・みりん 大さじ2
・揚げ油 適量

<作り方>
1.マグロを棒状にカットし、醤油とみりんの漬けダレに5分ほど漬け込む。
2.湯葉を広げてマグロを包み、160度の揚げ油で1〜2分揚げ、熱いうちに切る

とろとろ卵と湯葉のデミグラスオムライス わさびクリームソースがけ

<材料>2人分
・デミグラスソース 200g
・チキンライス(冷凍) 400g
・卵 4個
・豆乳 60g
・つまみ上げ湯葉 40g
・バター 20g

【わさびクリーム】
・練りわさび 4g
・豆乳 40g
・生クリーム 40g

<作り方>
1.デミグラスソースを温めておく。
2.鍋に練りわさび、豆乳、生クリームを順に入れ、とろみがつくまでゆっくりと混ぜる。
3.ボウルに卵、豆乳をいれて、よく混ぜる。
4.フライパンにバターを熱し、3、湯葉を入れてよく混ぜ、半熟状に焼く。
5.皿に温めたチキンライスを盛り、4をのせる。
6.1のデミグラスソース、2のわさびクリームをかけ、パセリ(分量外)をトッピングする。

上へ戻る