知っておきたいお中元マナー
もくじ
お中元・お歳暮とは?
お中元・お歳暮は、いずれも季節の挨拶を兼ねてお世話になった方へ感謝の気持ちを伝えるため、贈りものをするしきたりのことです。
お中元とお歳暮の違いについて
お中元・お歳暮の時期になると、百貨店やスーパーマーケットだけではなく、近年ではインターネット通販サイトやコンビニエンスストア等でも「お中元」、「お歳暮」の文字をよく目にするようになります。 この2つの違いは「贈る時期」の違いです。お中元は夏に、お歳暮は冬に贈りますが、相手の方のお住いの地域により、時季が異なりますのでご注意ください。
お中元を贈る地域と時季について
お中元を贈る時期は、地域により異なります。下記一覧にまとめましたので、参考になさってください。*1
感謝を伝える大切な機会のため、お中元、お歳暮共に贈ることが一般的とされていますが、必ず両方とも贈らなければならないというわけではありません。
近年では、様々な事情から一年間の感謝の気持ちを伝える意味で、お歳暮のみで済ます方もいらっしゃいます。
【お中元を贈る期間】
【北海道】
7/15~8/15
【東北地方(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)】
7/1~7/15
【関東地方(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県)】
7/1~7/15
【北信越地方(富山県・石川県・福井県・新潟県・長野県)】
7/15~8/15(地域により7/1~7/15の場合あり)
【東海地方(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県)】
7/15~8/15
【近畿地方(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県)】
7/15~8/15
【中国・四国地方(岡山県・広島県・鳥取県・島根県・山口県・香川県・愛媛県・高知県・徳島県)】
7/15~8/15
【九州(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県)】
8/1~8/15
【 沖縄県】
7/15
※関東地方のお中元シーズンが短いため、近年では6月20日頃からお中元を贈り始める方が増えています。
※上記以外でもお盆を新暦・旧暦で行うかによってお中元時季が異なる地域があります。
贈る場合のマナー
お中元は本来、相手の自宅を訪問し、直接手渡しするのがマナーとされています。
しかしながら、近年では、相手の方が遠方にお住まいの場合や多忙により時間が合わない等の理由により、お中元を百貨店、インターネット通販サイトから直送してもらうことが増えており、特にマナー違反という訳ではありません。
これは、産地や工場から新鮮もの、市場では出回らないものが直接届くというメリットがあり、現在では配送してもらうことの方が主流になっています。
【持参する場合】
事前に相手の方の都合に合わせて訪問日時を決定し、品物を風呂敷に包んで訪問します。
玄関先ではなく、通された部屋であいさつをした後に渡します。
品物を風呂敷から取り出し、相手の方に向けて(熨斗の文字が読める方向)両手を添え、渡します。
また、風呂敷ではなく、紙袋に入っている場合は、紙袋から出してから渡します。
風呂敷・紙袋は、その場で畳んで持ち帰ります。
【配送する場合】
お中元の品が相手の方へ届く前に、まず「送り状」を送ります。
内容は、ご挨拶の他に、「お中元を送ること」や「いつ頃到着するか」等を記載します。
また、送り状を発送できない場合は、電話やメールなどでお知らせし、確実に受け取れる日程に合わせますお中元を送ります。
【取引先等へ贈る場合】
一部の企業や公務員では、贈答品の授受が禁止されている場合があります。相手先企業へ確認の上、贈るようにしましょう。
企業の場合は、下記の配慮があると喜ばれるでしょう。
- お届け先は必ず部署名、担当者名を記載する
- できれば全員でシェアできるような個包装の商品(社員数を把握)
- たくさんのお中元が届き、一度の消費しきれないため、賞味期限が長めのもの
- 温度管理が楽で場所を取らず、保管に手がかからないもの
お中元の熨斗について
お中元およびお中元のお返しの熨斗は、何度でも結びなおすことのできる「紅白蝶結びの熨斗」を用意します。
「御中元」と記載し、包装紙の外側に掛ける外熨斗、包装紙の内側に掛ける内熨斗のどちらでも構いませんが、外熨斗の方が一般的です。
また、企業へ贈る場合は、開梱せずに送り主がわかるよう外熨斗で贈る方がおすすめです。
尚、お中元の時季が過ぎてしまっている場合は、「残暑御見舞」等、贈るタイミングに合わせます。
お中元を受け取った際のマナー
ここでは、お中元を受け取った際の基本的なマナーついて触れています。どうぞ、参考になさってください。
また、相手の方との関係によってはこの限りではありません。
【お返しは不要】
お中元は、日頃お世話になっている方へのお礼、感謝の意を表すために贈るのでお返しは原則として不要です。
【お礼状の送付】
お中元を受け取った場合は、送り主へ受け取った旨と感謝の気持ちをお礼状として送ります。ただし、お礼状でなくお中元として品物でお返ししても特に失礼には当たりません。また、非常に親しい間柄の場合は、電話で済ませることもあります。
お中元を送り忘れてしまったら
お中元を贈り忘れてしまった!気が付いたらお中元の時期が過ぎていた!
などの場合は、「暑中御見舞」や「暑中お伺い」、「残暑御見舞」や「残暑お伺い」として贈ります。
【暑中御見舞】
暑中御見舞の時季は、通常、二十四節気の小暑(7月7日頃)~立秋の前日(8月7日頃)です。
【残暑御見舞】
残暑御見舞の時季は、通常、二十四節気の立秋(8月8日頃)~処暑の候(9月7日頃)です。
喪中の場合
【相手の方が喪中の場合】
喪中であってもお中元を贈ることができます。
ただし、忌中(故人が亡くなってから49日の法要までの期間)*2は、元来、穢れを人にうつさないように振る舞う期間で、肉や魚介などの生臭いものを避けて、家に籠っている習わしがありました。
そのため、この期間に贈ること、また、品物は生臭いものや華やかな花等は避け、忌明け後に「残暑御見舞」等で贈ります。
【自分が喪中の場合】
忌明け後であれば、例年通りお中元を贈っても問題ありません。
お中元の歴史と由来
「お中元」は、日本のお盆(旧暦7月15日)と非常に深い関係にあります。
もともとは、古代中国での漢民族の三大宗教のひとつ、道教の三官信仰に由来します。三官とは、福をもたらす「天官」、善悪の判断を下し罪を赦す「地官」、水火等の災いを防ぐ「水官」のことです。
一年の中で大切な満月の3日である旧暦の1月15日(上元節)、7月15日(中元節)、10月15日(下元節)にそれぞれこの三官が生まれたとされ、その日(三元)に祭祀するというのが三官信仰です。中でも地官の生まれた「中元節」は、一日中火を焚き、仏具を飾り立て様々な食べものや飲みものを捧げれば、地獄の因徒・餓鬼たちは救われ、主催者たちも福が得られる信じられていました。
この習わしが日本に伝わってきた際、期日が一致する日本のお盆と結びつき、当時日本では「中元」という言葉は「盆」と同義で使われるようになりました。そのため、元々日本でお盆に行われていた両親への見舞いや先祖供養としての他、親戚や知人、お世話になった方へ品物を贈ることが「お中元」という風習として根付きました。
一方、時代は下り、時の明治政府は、明治5年(1872)11月9日「これまで使用してきた太陰太陽暦(旧暦)をやめ、太陽暦(グレゴリオ暦・新暦)を採用する」と突然発表します。しかも、実施は、太陽暦の新年を明治6年1月1日と定めます。これはつまり、旧暦での明治5年12月3日であり、発表から24日後に新年を迎えるという非常に急な発表でした。
この時代は現代と違い、通信手段は郵便や電信*3であったため、日本全国にこの情報が届くには、何日もかかりました。また、旧暦は長年慣れ親しんだだけでなく、日本人の季節感にも合っていたため、すぐに新暦に切り替えることができず、第二次世界大戦後まで旧暦に合わせて生活している地域もありました。
その他にも農作業の繁忙期と新暦の行事が重なる等の事情もあり、現代でも旧暦のまま行事を行っている地域もあります。
そのような事情から、お中元を贈る時期が地方、地域によりまちまちになったと言われています。
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*1 各地域、各家庭の伝統や慣習によって異なることがあります。
*2 神式では50日
*3 仲介者が文字をモールス信号等の符号に変換して送受信する通信方式。復号して受取人に伝える。
【参考】
- 日本文芸社『和のしきたり―日本の暦と年中行事』
- 三省堂『年中行事事典』
- 新潟県立文書館(https://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/?page_id=921)