2023.07.29

華やかに映える 甘美なご褒美カッサータ

美食王国イタリアは、おいしいスイーツの宝庫でもあります。
ティラミスやジェラート、パンナコッタ、マリトッツォなど、これまで多くのイタリアンスイーツが日本でブームを巻き起こしてきました。
そのなかで最近じわじわと人気上昇中なのが、イタリア南部・シチリアの伝統菓子「カッサータ」。一体どんな味と食感で、いつごろ誕生したのでしょうか?
今回は注目のカッサータについて掘り下げていきます。

カッサータ イメージ

1.シチリア名物・カッサータとは

カッサータはシチリア半島生まれのアイスチーズケーキ。別名「カッサータ・シチリアーナ」とも呼ばれています。
本場シチリアでは、クリーム状のリコッタチーズ※をベースに、ナッツやドライフルーツなどを加えて冷やし固めた後、スポンジ生地で包み込み、白と緑のマジパンでコーティングするのが定番とされています。
さらにフルッタカンディータ(フルーツの砂糖漬け)を上に載せたり、アイシングでレースのような模様を描いたりして、より華やかに仕上げることもあるのだとか。大きいものでは直径30センチほどもあり、なかなかにボリューム満点です。
ひと口サイズの小ぶりなものは「カッサティーナ」と呼ばれ、必ずチェリーで飾りつけられます。
実はこのカッサータ、現在日本でよく見かけるものとは素材やビジュアルが異なります。詳しい話は後に譲るとして、まずはその歴史から紐解いていきましょう。

※古くから南イタリアで作られてきた羊のリコッタチーズは、製造過程でできる乳清(ホエイ)を加熱・凝固したもので、しっとりなめらかな口あたりが特徴です。

本場シチリア島カッサータ

2.カッサータの歴史と起源

長靴の形をしたイタリア半島のつま先に浮かぶシチリア島。
地中海のほぼ真ん中に位置する特殊な立地条件から、古来よりヨーロッパと北アフリカ・西アジアを結ぶ交流拠点として栄えてきました。
九州より面積の狭い島内には、東西のエッセンスが溶け合った独自の食文化が息づいています。

10世紀のシチリアはアラブ人に支配されていました。カッサータの原型は、このころにパレルモで誕生した「クワッサットゥ」だと言われています。
クワッサットゥとは、リコッタチーズにハチミツを混ぜ、ボウルで保存した食べ物のこと。このクワッサットゥを小麦粉、バター、卵、砂糖などで作った生地に包み、オーブンで焼いたのがカッサータの起源とされています。
冷製のイメージが強いカッサータですが、原型となったのは意外にも焼き菓子だったのですね。ちなみにオーブン焼きのカッサータは「カッサータ・アル・フォルノ」という呼び名で、今もシチリアに伝わっています。

現在の形に近い冷製カッサータは、シチリアがノルマン人の支配下にあった11世紀ごろに生まれたそうです。
ちょうどこの時期、首都パレルモのマルトラーナ修道院で、アーモンドパウダーと砂糖を混ぜて固めたマジパンが作られるようになりました。前述したクワッサットゥの挟み焼きをマジパンで巻くようになったのは、この時代からだと考えられています。
さらに18世紀のスペイン統治下にスポンジが伝わり、19世紀にはアイシングやフルーツの砂糖漬けでデコレーションが施されるようになりました。
カッサータは文字通り、シチリアの歴史と共に少しずつ進化を遂げていったのです。

イタリア シチリア半島地図

カッサータの語源には諸説ありますが、イスラムの支配下にあった歴史的背景から、アラビア語の「ボウル(皿)」や「乳製品」がもとになっていると推測する人もいるようです。
カッサータのレシピが文献に登場するのは19世紀に入ってから。それ以前にはどのような場面で食べられていたのか、はっきりとわかってはいませんが、1575年にはすでに修道院の復活祭で食べられていたという興味深い記録も残っています。

3.日本と本場のカッサータは違う?

オムライスやコロッケ、海老フライが実は日本独自の食文化であるのと同じように、カッサータも本場シチリアとは異なる形で日本に広まっていきました。
冒頭でご紹介した通り、本場シチリアではリコッタチーズをスポンジで包み、マジパンで覆ったものをカッサータと呼んでいます。ほとんどの場合がドーム状の丸い形で、フルーツの砂糖漬けをチーズの上に載せるのが一般的です。

いっぽう、新鮮なリコッターチーズが手に入りにくい日本では、クリームチーズや生クリームなどをベースに代用することが多く、スポンジも使用しません。長方形の型に入れて冷やし固めたものが主流で、見た目にも違いが現れています。

国や地域によって、それぞれの個性が光るカッサータ。多種多様な味を食べ比べてみるのも楽しいかもしれません。

4.カッサータとセミフレッドの見分け方

カッサータと同じイタリア発祥で、見た目もよく似た冷製スイーツに「セミフレッド」があります。
リコッタチーズ(日本ではクリームチーズが主流)、生クリーム、ナッツ、ドライフルーツが主な材料のカッサータに対し、セミフレッドの基本材料は生クリームとカスタードクリームのみ。たっぷり空気を含ませながら泡立てるので、ふんわりとろけるような軽い食感に仕上がります。「セミ(半分)」「フレッド(冷たい)」という名前の通り、半解凍の状態で食べるのがおすすめです。
さまざまな素材の食感が楽しめるカッサータと、なめらかな口どけのセミフレッド。見た目は似ていても、使う材料や作り方で異なるスイーツになるのが奥深いですね。

5.お好みの食感が楽しめる

カッサータはアイスケーキなので、食べたい時にお好みのサイズにカットして食べられます。解凍の度合いや素材によって、さまざまな食感が楽しめるのもポイントです。

【アイス】
冷凍庫から取り出した直後なら、凍ったままのひんやり食感とさっぱりとした甘さが楽しめます。アイスチーズケーキがお好きな方におすすめです。

【半解凍】
冷凍庫から冷蔵庫に移し替え、15分ほど置きましょう。外側はほんのり柔らかく、中はシャリシャリと冷たい2つの食感が同時に楽しめます。ドライフルーツやナッツとの一体感が味わえて、ちょっぴり贅沢な気分に浸れますよ。

【解凍】
冷凍庫から冷蔵庫に移し替え、90分ほど置きましょう。完全に解凍され、とろふわ食感の濃厚なレアチーズケーキに変化します。口の中にじんわり広がるクリームチーズの甘みは、クセになるおいしさ。断面は霜が溶けて、中に入っているドライフルーツが色あざやかに映えます。

6.SNS映えする“カワイイ断面”

色とりどりのドライフルーツやナッツをあしらった、写真映えするカワイイ見た目も人気の決め手です。“萌え断“と呼ばれるカラフルな断面を見せて器に飾るだけで、食卓がパッと華やかに!撮影した画像をSNSに載せたくなる人が多いのにも納得です。
パーティやハレの日のおもてなしデザートとしてはもちろん、自分へのご褒美や大切な人へのギフトに贈っても喜ばれますよ。

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【きれいにカットするコツ】
カッサータを切り分ける際は、必ず冷凍の状態でカットしましょう。
ナイフを事前にお湯で温めておくと、断面がきれいに切れます。

7.簡単!ひと手間アレンジ

デザートやティータイムに、ちょっぴり味の変化を楽しみたい時は、ほんのひと手間で簡単にできるアレンジ方法をお試しください。

【生のフルーツをプラス】
お好みでいちご、ブルーベリー、マンゴーなどの具材を加えれば、フレッシュ感と歯ごたえがさらにアップ!ひと口食べるたびに、味と食感の贅沢なハーモニーが堪能できます。

【ビスケットやパンに挟む】
サブレやビスケットに挟むだけで、サクサクの食感が加わります。
解凍状態でベーグルやクロワッサンなどに挟めば、口どけなめらかなクリームチーズサンド風に。片手で簡単につまめて食べやすい点も高ポイントです。

【チョコクリームをオン】
チョコレートと生クリームを混ぜ合わせたホイップクリームを上に載せれば、2つの味が同時に楽しめます。チョコ好きの方にはたまらない味わいです。

【ほろにがティラミス風】
コーヒーシロップとココアパウダーを振りかけて、ほんのりビターなティラミス風に。甘さ控えめな大人の味わいが楽しめます。

カッサータアレンジレシピ素材

8.おすすめのドリンクペアリング

カッサータの美味しさをさらに引き立てる、おすすめの飲み物もご紹介します。TPOや気分に合わせて、お好みの組み合わせを楽しみましょう。

〈ノンアルコール〉
【コーヒー】
●水洗式の浅煎り〜中浅煎り(エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカなど)
:軽やかな飲み口とほどよい酸味が好相性です。
●ナチュラルプロセスの浅煎りコーヒー(エチオピア、イエメンなど)
:なめらかな口あたりと華やかで優しい香りがドライフルーツの酸味によく合います。
●炭酸アイスコーヒー
:暑い時期は、コーヒーを炭酸水で割るのもおすすめ。キリッとした酸味とのどごしで、爽快な気分が味わえます。

【紅茶】
●ディンブラ
:すっきりとクセのない味わい、フレッシュな香りがチーズの濃厚さを際立たせます。ストレートでも美味しいですが、ミルクティーが特におすすめです。
●ルフナ
:しっかりとコク深く、ミルクティーに最適。まろやかな甘さの中にもスモーキーな香りがあり、まろやかなチーズの旨みをさらに格上げしてくれます。
●ニルギリ
:フレッシュな味わいながらも適度な渋みがあり、クリームチーズによく合います。花や果物を思わせる芳しい香りで、フルーツの爽やかな風味を引き立てます。ストレートティーはもちろん、少し濃いめに淹れてミルクティーにしても美味しいですよ。

【日本茶】
●深蒸し煎茶
:まろやかで渋みが少なく、しっかりと力強い味わい。茶葉が細かいので味が出しやすく、クリームチーズ特有のコクを巧みに引き立ててくれます。
●ほうじ茶
:ほどよい苦みと香ばしい香りが、まろやかなクリームチーズの甘さを引き立てます。

〈アルコール〉
華やかなロゼや赤系の甘口ワインが特におすすめ。ベリー系のドライフルーツと絶妙にマッチして、カッサータの風味に深みが増します。
甘さ控えめがお好きな方には、酸味の効いた辛口の白ワインやレモンサワーがぴったり。甘口の日本酒も相性が良いです。

カッサータでティタイム

(西原オンラインストア おすすめ商品)

あまおうカッサータ

北海道産クリームチーズを100%使用した生地に、福岡産あまおう苺のペーストをたっぷり練り込んだアイスケーキ。
コク深くなめらかなクリームチーズと“苺の王様”あまおうの濃厚な甘さが溶け合った、贅沢で香り高い一品です。
ナイフでケーキをカットすれば、色とりどりのドライフルーツやナッツがぎっしり!宝石のように華やかな見た目はもちろん、さまざまな食感の変化もお楽しみいただけます。

西通りプリン あまおうカッサータ

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