2024.02.17

いちごの旬と食べ頃はいつ?
人気の品種や見分け方のコツ、保存方法をご紹介

いちご狩りのシーズン真っ盛りですね!冬から春にかけて店頭に並ぶいちごは、甘酸っぱい味わいと華やかな見た目で、そのまま食べるのはもちろん、スイーツの主役でもあります。近年は日本全国の名産地が次々にオリジナル品種を開発しているので、種類が豊富になってうれしい反面、どれを選べばいいのか迷ってしまうことも。
そこで今回は、知って得するいちごの旬や品種ごとの特徴、上手な見分け方などを徹底解説。あなた好みの美味しいいちごを見つけて楽しむ手がかりにしてください。

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1.いちごの歴史とルーツ

私たちが今食べているいちごの原型は、18世紀のオランダで南米原産チリ種と北米原産バージニア種の交雑により生まれました。はるか昔の石器時代から野生のいちごは食べられていたようで、スイスの遺跡からは種が出土していますが、当時の野いちごは甘みが少なく小粒でした。
日本にいちごが伝わったのは江戸時代末期。オランダ船で観賞用として長崎に運び込まれたことから、「オランダいちご」と呼ばれていたそうです。明治時代初期にはアメリカから栽培用の品種もやって来ましたが、残念ながら定着には至りませんでした。
その後、フランスから取り寄せた品種をもとに新宿御苑が10年以上かけて研究を重ね、国産いちご第1号「福羽(ふくば)いちご」が誕生します。日本の気候風土に合わせて開発された福羽いちごは色・形・味・香りともに上質で、世界的にも高く評価されました。
福羽いちごは皇室庭園の新宿御苑で生まれたことから、当初は「御苑いちご」「御料いちご」とも呼ばれました。「とちおとめ」「あまおう」「女峰」「とよのか」など、現在市場に流通している多くのいちごは、この福羽いちごがルーツとなっています。

2.いちごの品種・産地・旬を知ろう

いちごは世界各国で食べられていますが、生食での消費量は日本が世界一なのだとか。日本に流通しているいちご品種は、その数なんと約300種類!毎年新たな品種が開発され、ご当地ブランドとして愛されています。
ここでは、その中でも特に代表的なブランド、注目の品種をご紹介していきます。産地によって旬が異なるので、それぞれ最も美味しい時期に食べましょう!

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【あまおう】
●主な産地:福岡県
●出荷時期:12〜5月(旬は3〜4月)
●特長:福岡限定のご当地ブランド。「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字をとって命名された。その名の通り、先端が丸く大きいのが特徴で、ずっしり大粒なものが多い。甘酸っぱく濃厚な味わいで、ジャムやケーキにもおすすめ。

【とちおとめ】
●主な産地:栃木県、茨城県、愛知県
●出荷時期:11〜6月
●特長:栃木生まれの大ぶりないちごで、東日本を代表する品種。ほどよい甘みと酸味があり、香り高くジューシー。日持ちも良く、パフェやケーキなどのスイーツにもぴったり。果肉が淡い赤色なので、断面を見せるデコレーションも映える。

【紅ほっぺ】
●主な産地:静岡県
●出荷時期:12〜5月(旬は3〜4月)
●特長:大きめの円錐形で、やや硬めのしっかりとした食感。香り高く、甘酸っぱくコクがあり、いちご本来の美味しさが詰まっている。あざやかな赤色で断面も美しく、ショートケーキやフルーツサンドにも最適。

【あきひめ】
●主な産地:静岡県、愛知県、滋賀県
●出荷時期:12〜5月(旬は2〜4月)
●特長:静岡生まれの品種で、縦に長い円錐形のフォルムが特徴的。しっかりとした甘みがあり、酸味は少なめ。柔らかくジューシーで口あたりも良い。

【きらぴ香】
●主な産地:静岡県
●出荷時期:12〜5月(旬は1〜4月)
●特長:静岡限定のご当地ブランドで、「紅ほっぺ」と「あきひめ」をもとに開発された。やや硬めの果肉で日持ちしやすく、早い時期から収穫が始まるため、クリスマスケーキにも最適。酸味は控えめで甘み・香りともに豊か。大粒の円錐形で光沢が美しい。

【あまりん】
●主な産地:埼玉県
●出荷時期:1〜5月
●特長:2016年に誕生したばかりの埼玉オリジナル品種で、第1回全国いちご選手権で最高金賞を受賞。大粒でやや硬めの果肉とあざやかな赤色が特徴。強い甘みとほのかな酸味のバランスが良く、食べやすい。

【やよいひめ】
●主な産地: 群馬県
●出荷時期:12〜5月(旬は2〜3月)
●特長:一般的に3月を過ぎて気温が高くなるといちごは品質が低下しがちだが、群馬発祥の「やよいひめ」は3月でも美味しさを保てるのが強み。大粒でオレンジがかった明るい赤色をしており、甘みが強い。酸味が少なく、スイーツやスムージーにも最適。

【まりひめ】
●主な産地: 和歌山県
●出荷時期:12〜5月
●特長:和歌山限定のオリジナル品種。県の民芸品「紀州てまり」のように、多くの人に愛されるようにとの願いを込めて命名された。やや丸みを帯びた円錐形で、大粒のものが多い。糖度が高く、酸味が控えめでまろやかな味わい。

【かおりの】
●主な産地:三重県
●出荷時期:11〜5月(旬は1〜2月)
●特長:三重県が約20年かけて開発。いちご栽培の大敵である炭疽病(たんそびょう)に強い希少種として注目されている。爽やかな甘みと穏やかな酸味のバランスが絶妙。口の中にふわっと広がる甘くフレッシュな香りから「かおりの」と命名された。

※炭疽病とは:いちごの病害で、カビの一種によって引き起こされます。発病すると、葉や細い茎の部分などに黒いまだら模様ができ、最後には株全体が枯れてしまう非常に怖い病気です。

【ゆうべに】
●主な産地:熊本県
●出荷時期:11〜5月(旬は12〜3月)
●特長:2017年に登録された熊本限定のオリジナル品種。大ぶりで端正な円錐形とあざやかな赤色が特徴。甘みと酸味のバランスが良く、花のような香りも華やか。

【恋みのり】
●主な産地:熊本県、長崎県、大分県、山口県
●出荷時期:12〜4月(旬は1〜3月)
●特長:農研機構が開発した新品種で、2020年に登録されたばかり。ふっくらとした大粒のハート型が可愛らしい。しっかりと硬めの果実で傷みにくく日持ちするため、九州を中心に生産拡大中。すっきりとした甘さで酸味は控えめ。華やかな香りが上品。

3.美味しいいちごの見分け方

みなさんはいちごを買う時、どんなところを見て選んでいますか?何となく実が赤いものは熟していて美味しそうですが、いちごの色は品種によって違うので、色が濃いほど美味しいというわけではありません。それでは一体、どのようなポイントに着目すれば良いのでしょうか。ここでは、上手ないちごの選び方をお教えします。

【大きく、形がキレイで光沢がある】
大粒のいちごは一番最初に実ったものが多く、糖分や栄養がギュッと詰まっていて美味しいと言われます。いびつな形のものは受粉が充分ではなく、甘さが全体に行き渡っていない場合もあるので、大粒で形の整ったツヤのあるいちごを選びましょう。

【ツブツブが赤く、埋もれている】
いちごの表面にあるツブツブは一見「種」のようですが、実はひとつひとつが「果実」なんです。この部分をよく見ると、浮き上がっているものと埋もれているものがあるのがわかります。みずみずしいものほどツブツブが埋もれて見え、ジューシーな果汁と栄養が凝縮されています。また、ツブツブが赤いのは完熟のサインです。黄色っぽいものより赤いものをよく見て選ぶようにしましょう。

種が黄色く、ヘタがそり上がっていない
ツブツブが黄色の状態
種が赤い熟し、ヘタが立ち上がっている苺
ツブツブが赤く完熟の状態

【ヘタが濃い緑色で、ピンとそり返っている】
フレッシュないちごはヘタがあざやかな濃い緑色で、上に大きくそり返っています。逆にヘタが黒っぽく下を向いているものは鮮度が落ちていたり、栄養が充分に巡っていないおそれがあるので要注意。

【ヘタ周りの果皮まで赤い】
ヘタ周辺の果皮まで赤く染まっているのは、しっかり成熟している証。色の濃度よりも、実全体が赤くなっているかどうかをチェックするのが重要です。

4.いちごを美味しく食べるには

いちごは先端から熟していくため、先端に行くにつれ甘く柔らかくなります。反対に、ヘタ周りは酸味があり、シャキッとした食感。生で食べる際は縦に切ると、甘みと酸味、異なる食感が同時に楽しめます。果実を洗う場合は、カット前に軽く水で洗い流すだけで充分です。洗いすぎるとビタミンCも水で流れ出してしまうのでご注意を。

苺の甘みと酸味のバランス

5.いちごの上手な保存方法

【常温保存の場合】
いちごは時間を置くと甘みが増す「追熟(ついじゅく)」フルーツではないため、新鮮なものをなるべく早めに食べ切るのが一番です。収穫したてのいちごは常温保存がおすすめ。とれたての美味しさをそのままキープできます。水気があると傷みやすくなるので、洗うのは食べる直前にしましょう。

【冷蔵保存の場合】
スーパーなどの店頭に並んでいるいちごは、収穫してから数日経っている可能性があるので、冷蔵保存がおすすめ。傷みの原因となるので、いちごは洗わずに冷蔵します。カビがつかないよう水気をふきとり、黒ずんだり柔らかくなっているものは取り除いて保存容器などに移し替えましょう。
パックに重なって入っている場合は、下のものが重みで傷みやすくなるので、いちご同士がくっつかないよう、ヘタを下にして並べるのがポイントです。仕上げにキッチンペーパーやアルミホイルで包んで保存すると、より長持ちします。

【冷凍保存の場合】
10日以上保存したい場合は冷凍がおすすめですが、いちごは冷凍すると甘みが落ちてしまいます。冷凍の際は、いちごの水分を保つために砂糖をまぶしましょう。
また冷凍いちごをそのまま解凍すると、水分があふれ出してブヨブヨになってしまいます。一度冷凍したいちごは半解凍でシャーベットにしたり、スムージーやジャムにすると美味しく食べられますよ。

〈冷凍方法〉
①いちごを洗ってヘタを切り落とし、水気をよくふきとる。
②いちご全体に砂糖をまぶした後、2〜3個ずつラップに包んで保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いて冷凍庫へ入れる。

〈解凍方法&おすすめの食べ方〉
●約5分自然解凍すると、ひんやり美味しいシャーベット状に。
●凍ったまま鍋に入れて砂糖と一緒に加熱すれば、いちごジャムが時短で完成。

ひとくちメモ

木いちごと野いちごの違いって?

私たちが普段食べているいちごは、栽培品種の「オランダいちご」に属しています。いっぽう、お菓子の材料によく使われるラズベリーやブラックベリーは「木いちご」、道端や草むらに生えているヘビイチゴは「野いちご」に分類されます。それぞれの違いを見分けるポイントは次の通り。豆知識として覚えておけば、ハイキングなどに役立つかも!?

【木いちご】
バラ科キイチゴ属の植物で、「木に実るいちご」全般を言います。ラズベリーはフランス語でフランボワーズ、日本語で木いちごと訳されますが、一般的にはヨーロッパキイチゴという品種を指しています。オランダいちごとの違いはズバリ、木に実るかどうか。ラズベリーやブラックベリーは木に実りますが、オランダいちごは木に実りません。

【野いちご】
バラ科キイチゴ属の植物の中で、山野に自生していちごのような小さな果実をつけるものを「野いちご」と呼びます。代表例としてはヘビイチゴ、ニガイチゴ、モミジイチゴ、バライチゴなどが挙げられます。「ヘビイチゴのような野いちごには、毒があるから食べてはいけない」という俗説もありますが、ほとんどの野いちごは無毒で食べられます。ただし味がいまいちだったり、アレルギーを引き起こすおそれのある成分が一部含まれている場合もあるので、食べる際は要注意。コロンとした小さな赤い実が可愛らしいので、どちらかと言えば観賞用に育てるケースが多いと言えます。

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《出典元・参考文献》
農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1912/spe1_02.html
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0209/01.html
令和4年 作物統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215&tstat=000001013427&cycle=7&year=20220&month=0&tclass1=000001032286&tclass2=000001032933&tclass3=000001212604
新宿御苑
https://fng.or.jp/shinjuku/2022/05/15/20220515/
東京農耕大学同窓会
https://tuat-dousoukai.org/lounge/l-kyosyoku/page-1778/
栃木県
https://www.pref.tochigi.lg.jp/g61/ichigo-joho/ichigo-rutu.html
いちご王国 栃木
https://ichigooukoku.com/
埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/yasai/kaorin_amarin.html
三重県
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000396434.pdf
全農ふくおか
https://zennoh-fukuren.jp/consumer/fruit/ichigo
農研機構
https://www.naro.go.jp/collab/breed/0300/0301/073701.html
https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/138292.html
静岡県立大学 薬草園歳時記
https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/guide/outline/oike02/may-2022/

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