2023.06.10

佃煮の歴史とアレンジレシピのご紹介

みなさんは、「佃煮」と聞くとなにを思い浮かべますか?なんとなく地味なイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本の伝統的な食べ物のひとつである佃煮の歴史やアレンジレシピをご紹介し、少しでもその魅力をお伝えできればと思います!


1. 佃煮とは

一口に佃煮と言っても昆布や海苔などの海産物を原料とするもの、ふきやわらびなどの農産物を原料とするもの、また、味付けも様々なものがあり、日本には実に多くの種類の佃煮があります。
全国調理食品工業協同組合によると「佃煮は、小魚、小エビ、貝類、昆布などの水産物や野菜などの農産物を原料に砂糖、醤油、飴、みりん、調味料などで作られた濃厚な調味液を浸透させ甘辛く煮つめた加工食品」と定義されており、古くから親しまれてきた食品です。
メインとして食卓に出ることは少なく、なんとなく脇役なイメージをお持ちの方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、実は日本の食文化を支えてきた重要な食品のひとつです。お正月に食べるおせち料理には欠かせない「田作り」や、コンビニでおにぎりの具材として人気の「昆布」も佃煮の一種です。

2. 佃煮の歴史

このように普段から何気なく口にしている佃煮ですが、起源は江戸時代にまでさかのぼり、あの有名な「本能寺の変」が関係しているとされています(諸説あり)。
1582年に織田信長が明智光秀の謀反によって討ち死にした本能寺の変ですが、徳川家康は、当時、信長の勧めにより、上方を遊覧中でした。そのため、「信長討ち死」の一報を和泉国堺(現在の大阪)で受けます。この時、自身も身の危険を感じ、居城の岡崎城(現在の愛知県)に逃げ戻ろうとしますが、すでに明智光秀の手によって退路は断たれ、神崎川(現在の大阪市住吉区)で足止めを食らってしまいます。
舟を持たず、川を渡る手段がない徳川家康は万事休すかと思われましたが、近くの佃村の漁民が舟を用意してくれたことで、なんとか脱出することが出来ました。
江戸幕府を開いた後も佃村の漁民への恩義を忘れていなかった徳川家康は、彼らを江戸に移住させて特別な漁業権を与えるなど手厚く加護し、居住地を佃島(現在の東京都中央区)と名付けました。
佃島の住人たちは、漁で獲れた魚を江戸幕府に献上し、余った小魚を甘辛く煮て保存食として食べていました。これが佃島の周辺でも売られるようになり、「佃島で作られた煮物=佃煮」と呼ばれるようになったと言われています。
この佃煮は、参勤交代時の土産として武士が故郷に持ち帰えり、全国に知られるようになりました。
また、明治時代以降にも、西南戦争や日清戦争で保存食として多量の佃煮生産が命じられていたようで、戦後に帰宅した兵士が家庭でも副食として日常的に食べるようになり、現在に至っています。

3. 小豆島の佃煮

今では全国に佃煮の産地がありますが、香川県の小豆島もそのひとつです。
そもそも、小豆島は中世以前から製塩業が盛んで、元禄時代には赤穂に次ぐ生産量を誇っていました。
しかし、江戸時代後期になると生産過剰に悩まされ、次第に衰えを見せるようになります。そこで、塩を原料として活かすことのできる醤油業へと徐々に転換。麹の発酵に適した温暖で降水量の少ない気候や海上交通の要所であったことなどから、醤油は島の重要産物として発展します。明治時代には最盛期を迎え、島内には約400軒もの醤油蔵があったそうですが、太平洋戦争による原料不足で生産量が激減してしまいました。「醤油業だけでは地元の発展は望めない!」と危惧した醤油業者が生産を始めたのが佃煮でした。
戦後の食糧難の時代に芋の茎を醤油で煮て佃煮にしたのが始まりで、傷みにくく運搬しやすい佃煮は、食糧が不足する各地へ届けられました。
現在では重要な名産品となり、全国的にも有名な佃煮の産地のひとつとして高い評価を得ています。
では、なぜ小豆島で美味しい佃煮が作れるのでしょうか。その秘密は醤油の鮮度にあるようです。古くから醤油を製造していた小豆島では今でも島内に醤油蔵があり、全国有数の醤油の出荷量を誇る香川県の醤油の半数以上は小豆島で作られています。そのため醤油蔵と佃煮屋の距離が近く、新鮮な醤油を佃煮の原料に使用することが出来ます。醤油は古くなると色や香り、味が落ちてしまうものですが、小豆島ではもろみを絞って数時間という出来立てのフレッシュな醤油を使うことが出来るのが強みです。
小豆島では醤油蔵や佃煮屋が軒を連ねる「醤(ひしお)の郷(さと)」と呼ばれるエリアがあり、20軒以上が立ち並んでいます。

▲醤油の製造に使用される木桶

4. 佃煮を使ったアレンジレシピ

『佃煮=ご飯のお供』というイメージの方も多いと思いますが、実はご飯以外にも様々な食材と相性抜群です!インターネットで佃煮のアレンジレシピを検索するとたくさんのレシピが出てきますが、ここではおにぎりの具としてもおなじみの紫蘇昆布を使用したアレンジレシピをご紹介します。

刻んだ紫蘇昆布を入れることでいつもと違ったつくねに!紫蘇昆布が調味料代わりになるので調理も簡単です。

(1) 紫蘇昆布つくね

≪材料≫2人前

・紫蘇昆布 30g
・鶏ミンチ 200g
・ねぎ   1/2本
(調味料)
・片栗粉  大さじ2
・水    大さじ1
・酒    小さじ2
・和風だし 小さじ1
・塩    ひとつまみ

≪作り方≫

1.紫蘇昆布を粗く刻む。
2.鶏ミンチに調味料と1の紫蘇昆布を加えこねる。
3.2をひと口大に丸め、ネギと交互に串にさす。
4.油を薄く引いたフライパンで両面をこんがりと焼いたら完成。

(2) 紫蘇昆布ペペロンチーノ

ご飯のお供をパスタにアレンジ!和洋折衷のオシャレな佃煮メニューです。
今回は小松菜を使用していますが野菜はお好きなものでどうぞ。

≪材料≫1人前

・紫蘇昆布 30g
・パスタ  100g
・小松菜  1株
・ツナ缶  1缶
・にんにく 5g
・鷹の爪  1つまみ
・塩    適量

≪作り方≫

1.沸騰した水に塩(分量外)を入れ、パスタを既定の時間より少し短めに茹でる。
2.フライパンにツナをオイルごと入れ、ニンニクと鷹の爪、食べやすい大きさに切った小松菜を炒める
3.2に茹でたパスタと茹で汁(50ml)を入れ、紫蘇昆布を加えて和える
4.塩で味を調えて完成

(3) じゃが紫蘇昆布バター

みんな大好きじゃがバター!紫蘇昆布を加えることでコクが増し、食感も楽しめるレシピになります。レンジ調理のみで洗いものも少ないので食卓にもう一品追加したいときにもおすすめです。

≪材料≫2人前

・紫蘇昆布  10g
・じゃがいも 150g
・バター   お好みの量

≪作り方≫

1.じゃがいもを流水できれいに洗う。
2.水で濡らしたキッチンペーパーでじゃがいもを包む。
3.耐熱皿に2をのせ電子レンジ(500W)で4分加熱する。
※じゃがいもの大きさによって加熱時間は変わりますのでご調整ください。
4.加熱したじゃがいもに十字に切り込みを入れて紫蘇昆布を挟み、バターをのせて完成

5.まとめ

 今回は佃煮についてご紹介しました。伝統的な保存食である佃煮ですがとくに若い方にとっては縁遠い食品かもしれません。この記事を読んで改めてその良さを認識して興味を持っていただけたら嬉しいです♪和洋問わずアレンジできる食材でもありますのでいろいろなアレンジを試してみるのもオススメです!
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